現代文(評論・論説文)を読もう


こんにちは。第四回は現代文(評論・論説文)の読み方入門です。


まずはじめに。
今回は大事な概念を2つ扱います。

・一般(抽象)

・具体

の2つです。

ざっくり説明すると、
一般(抽象)はあるカテゴリに含まれる全てについて、もしくはカテゴリそのものを表し、

具体はあるカテゴリに含まれるもののどれかについて表しています。

例を挙げましょう。

あなたはゲームを持っていますか?
持っているのであれば、Nintendo Switchは持っていますか?


この質問において、「ゲーム」と「Nintendo Switch」の関係を考えてみましょう。

Nintendo Switch」は「ゲーム」というカテゴリの中の一つです。
ですので両者の関係は「Nintendo Switch」が、「ゲーム」という一般(抽象)の具体であるということになります。

ひとまず一般(抽象)の一部が具体という認識をしてもらって構いません。


それでは本題の評論・論説文についてお話していきます。

まず、評論・論説文は、「筆者が伝えたい」ことを「皆に納得してもらえる」ように書かれています。

例えば、「学校を休みたい」と親に伝えたいとします。
この時、ただ「学校を休みたい」と言うだけではきっと休ませてもらえないでしょう。なぜなら、親が納得していないからです。
そこで、「体調が悪い」という理由があったらどうでしょうか?
親もきっと学校を休むことを納得してくれます。

このように、評論・論説文はただ伝えたいことを言うのではなく、何か納得してもらえるもの(体験など具体例)を足して書かれています。


では実際には「伝えたいこと」と「納得してもらえるもの」はそれぞれどうやって書かれているのでしょうか?


例文です。


宿題は様々な仕事を簡単に処理できるようにしてしまう。その事は宿題を課す側の視点に立つとよく理解できる。
例えば、通知表には「関心・意欲・態度」という項目がみられることが多い。しかし、この項目は曖昧で、何を基準に評価すれば良いのかがよく分からない。その上、授業内だけで判断しようにも、クラスの生徒みんなをみることなんてできるはずがないし、特定の生徒への贔屓が入ってしまうかもしれない。そこで、宿題を課すのである。そうすれば、宿題の提出状況という明確な基準ができ、教員の負担が大幅に減るのだ。




上の例文では、第一段落が「伝えたいこと」、第二段落が「納得してもらえるもの」になっています。
それを分析すると、
第一段落では「宿題は様々な仕事を簡単に処理できるようにする」ということ、
第二段落では「宿題が明確な評価基準になり、教員の負担が減る」ということが述べられています。

第二段落の内容が第一段落の内容の具体になっていることがわかるでしょうか?

つまり、評論・論説文では

「伝えたいこと」が一般(抽象)

「納得してもらえるもの」が具体

になっているのです。
※理由が「伝えたいこと」に含まれることがあるので注意!!必ず一般・具体で判断しましょう※

そして、先ほど述べたように「伝えたいこと」と「納得してもらえるもの」は基本的にセットになっています。

ここで「伝えたいこと」をA、「納得してもらえるもの」をA´で表すと、

A→A´→A→A´→…… であったり、
A´→A→A´→A→…… というふうに文章が構成されています。

よって、「伝えたいこと」と「納得してもらえるもの」を見抜くことで文章の構成が理解しやすくなります。また、「伝えたいこと」だけで理解できるのなら「納得してもらえるもの」をわざわざ力をいれて読まなくてもよくなります。


この一般(抽象)と具体の考え方を学び、判断できる力を身につけて読解のための基礎を固めましょう。